今回のアルバム、2年ほど前だろうか?再びアナログレコードを再生出来る環境を整えその良さを実感していただけに、将来的にアナログ・プレスも可能な作品という事は大前提に置いていた。
今の所実現の予定は無いが、片面23分程度に収まるサイズ(これは昔レコードを46分のカセットテープにダビングしていた影響か)で、一度針を落としたらそのまま聴き続けたくなるようなストーリー性のある構成、出来るだけ無駄なトラックを控え空気感を尊重したアレンジ等、強く意識して制作を進めた。
曲順を定めながら新曲を創り、統一感を醸す為にも名乗りを上げてくれたエンジニア、ELTや東方神起を始め数々の現場を共にした服部敦に、自分でミックスした既発曲の再ミックスも含め、全曲のミックスを担当してもらった。
歌のレンジ感で飽きさせないよう、またサザンオールスターズに於ける原由子さんの様な彩りになることを目論み、一社員であるRobinにも全曲でコーラス、またはフィーチャリング・ボーカルとして参加してもらった。
【01 – 亜熱帯カーニバル】
プロデューサーとしての僕は、イントロを聴いた瞬間からワクワクする様なものを好んでアルバム1曲目に持ってくるのが常で、リスナーとしてもそれが好みなんだろうが、シンガー・ソングライターとしての僕はとにかくマッタリと入りたがった。
19年ぶりだからといって、いきなり最初から張り切って、意気揚々とした姿を見せたく無いという、”照れ屋”の骨頂なんだと思う。
それが嵩じてか、Neumann U87aiという、定番ながら僕の一番コンプレックスに感じる嫌な成分を引き出す、過去一度も自分の声には使った事がなかったマイクを選んで歌録りをした。
どうかしてる(笑)
「亜熱帯カーニバル」というフレーズは、いつも適当に語感のみで作る仮詞の段階から入っていて、「カーニバルって今時どうなのよ?ダサくねえか?!」と思い色々と他を考えたものの、左脳は右脳に勝てずそのままにした。
ここ数年東京の気候もそうだし、その中でも入った瞬間下手すれば冬でも熱気を感じ、更には蒸し熱いトークが繰り広げられる、4年半オーナー社長として営業した渋谷ヒマヲイキル。=”亜熱帯”を題材とした歌で間違いない。
ここが無かったら再び自らボーカルをとってライブをしようとは思わなかったのだから、ご挨拶として、なんやかんや言ってやはり1曲目はこれだったのだ。
井上慎二郎:Vocal, Background Vocal, Guitar, Programing
岩丸正:Drums
中村泰造:Bass
Robin:Background Vocal