【08 – Mirai】
元々は某タイヤメーカーのタイアップコンペに参加するため、ラムジ用に書いた曲。
タイヤだからある程度スピード感は必要だと知りつつ、高速回転するとホイールが逆回転して見える事象や、エコタイヤだからこそゆっくりスムーズに走って少しでもクリーンな未来を残そうよ、みたいな提案を含めて書いたバラードなので、まあ普通に採用されるわけなくストックとなった。
教科書のような循環コードを連ねつつ、抑揚が有るような無いようなメロディー、殆ど変えていない仮詞も含め僕はこの曲がどうしても好きで、ただラムジを想定して書いていたが故のファルセット部分に自信が持てず、最後まで収録には躊躇した。
シンガー・ソングライターにも色々なタイプが居るが、僕は歌いたくて曲を書くタイプではなく、曲を聴いてもらいたいが為に下手な歌を歌っていたタイプだとアルバム制作中にふと気づき、世に出るタイミングを失ってしまったこの曲を”理想”とは違うかもしれないけど形にしたいと思った。
ドラムは色々実験している最中に、独りでブースとコントロールルームを行き来したがら自分で叩いてしまった。
味は有るけど稚拙なドラムを補う音価を持っているのはこの人しかいないと、ベースはChirolynに依頼した。
歌詞はこれ以上増やしたくないし、仰々しいバラードにもしたくなかったので2番は省こうとしたが、それでは余りに淡白になってしまうため、ヒマヲイキル。を通じて知りあった716(MIDICRONICA)に詞を含めブリッジ部分のラップを依頼した。
DAWの進歩でいくらでも独りで音楽を創れるようになったが、コーラスのRobin含め、愛のある人たちの参加によるマジックで、ようやくこれが”形”になったんだと思う。
井上慎二郎:Vocal, Background Vocal, Guitar, Drums, Programing
716(MIDICRONICA) : Rap, Background Vocal
Chirolyn:Bass
Robin:Background Vocal
【10 – 僕の全て】
この曲も提供用に書いて採用ならず、ストックとなった曲。
正直に言うと、2014年夏〜2015年夏にかけて、自分なりの”人生のピーク”を感じていた。
本当に掴んだ人から見れば極小規模なレベルではあるが、やりたい事がやれて、行きたい所へ行って、困ることなど”言い掛かり”のような事に対する弁明くらいしかなかった。
だが、人生経験はそれなりに豊富な方、ピークがあれば谷底が有る事も流石に知っていて、これ以上登る事が分不相応な事も理解していた。
どうして親は”謹慎の慎”と”二番目の二”など名前に付けたのか…(笑)
ただ、ここから一旦どう下ろう?と、ここ最近登って来た途を振り返った時に、”何とも切ない”あるいは”刹那”とも思えるシーンの全てに、この曲がシンクロした。
やはりいつか、しっかりとした歌唱力のある人に歌ってもらいたいとも考えたが、今の自分の気持ちにしっくりくるこの曲は、フラグを立てるためにも今出しておきたかった。
「僕の全て」という、仮タイトルからそのままのタイトルもベタ過ぎてどうかとも思ったし、10年後にまた「あの時の俺バカ野郎!」と思うかもしれないが、敢えての中継地点、これが今の僕なんです。
そして誰かのシーンにもまた、シンクロしてくれたら嬉しいなぁ。
井上慎二郎:Vocal, Background Vocal, Guitar, Bass, Programing
秋山光江:Drums
Robin:Background Vocal